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壱成の答えに、由依の表情がくしゃくしゃに歪む。ぱっと両手で顔を覆い、深い深いため息をついて、心臓が引き絞られてでもいるかのように呻いた。
『どうして、お母さんに浮気のこと言っちゃったんだろう……っ』
両手の隙間からこぼれ落ちた声に、壱成は眉根を寄せた。
『離婚を望んでいたんじゃないのか? 父親に罰を与えられて良かったじゃないか』
由依は顔を覆ったまま、ふるふると首を横に振る。
『違う……そんなじゃない。私はただ、お母さんを守りたかっただけなの』
ジュースのボトルが彼女の膝から落ちて、壱成の足元まで転がってきた。それを拾い上げ、壱成は由依の隣に座る。手のひらのボトルはひんやりとしていて、壱成の体温を奪っていった。
『お母さん、本当に頑張ってるの。毎日仕事してて、家事もしてくれて。それなのに、浮気なんてされるの、おかしいから……。お母さんに言えば、家族会議とかして、お父さんが戻ってきてくれると思った。そうすれば、頑張ってるお母さんも報われるって……そんなわけないのに、私、本当に馬鹿だった……っ』
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