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助けてください、とメッセージが何通も届いている。
『猛獣に襲われている』『宇宙人にアブダクションされた』『車で渋滞に捕まっているがトイレに行きたい』『家が燃えた』。
絶体絶命のピンチの状況を添えて助けを求めるメッセージを送るのが四月一日の流行りなのだそうだ。
その中で一人だけ、グループラインに何十回も『助けて』とだけ送り続けている子がいるというのが、少し気掛かりだった。
誰もそのことに言及している子はいなかったので、この子がいなくなったことに気付くのは、もっと後になるだろう。
問題なしと判断して、彼女のスマホをポケットにしまった。
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