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「私はこういうのがかけたいんだけど、フレームが太いと重たくなるから無理なんだよねえ。フレームが重いとそれにレンズがつくから、さらに重くなるっていうわけ。インテリ系って感じで知的に見えない?」
手にしてかけていたのは、黒縁のスクエア型のメガネだった。丸顔の彼女には似合っていたが、インテリ系で知的に見えると聞かれたら微妙だ。
「知的には見えないけど、似合っているとは思うよ」
「正直な感想ありがとう」
それにしても、フレームが重いとかけにくいというのは、私にはなかった発想だ。レンズのことも考えたことはなかった。オシャレで似合っていたらそれでいいと思っていたが、実際に毎日かけるとなると、実用性についても考えなくてはならないのか。
「実用性って大事なんだね……」
「そうそう、おしゃれ用にかけるなら、一日だけだから重いとか考えなくていいけど。やっぱり毎日かけるとなると、軽さも重要な要素になってくるわけ。だから、こういうのも私は無理」
次に手にしたのは、丸メガネだがレンズが大きいのが特徴的だった。枠は細いが、レンズのことを考えると、確かに重そうだ。親友がかけるが、丸顔が強調されてあまり似合わない。
「これなんか、仁美に似合いそうだけど」
やはり、頼れるのはメガネ女子。私がわからない中、自分のかけたメガネをショーケースに戻して、候補となるメガネを二つ見せてくれた。
「仁美は私と違って面長で目がぱっちりしているから、丸メガネは似合うねえ。でも、メガネ女子かと言われたら、違うかなあ」
「個人的にはこれがいいんじゃないかと思うけど」
私は渡された二つのメガネをかけて鏡の前で見てみるが、美里の言う通り、一つ目の丸メガネはオシャレ度が高くて個人的には悪くはなかった。とはいえ、あくまで私が目指したいのはメガネ女子。メガネを日常的にかけることで、メガネの苦労を知るのが目的だ。
二つ目はフレームが上しかないものだった。枠が少ない分、軽くて顔にフィットしている。私は大人っぽいと言われる顔だが、それによく似合っている。レンズもあまり大きくないし、これなら日常使いできそうなデザインだ。
「いいなあ。メガネをかけて知的に見えるなんて嘘かと思っていたけど、仁美がかけると、本当にそれっぽく見えるから不思議だわ」
「私は元が知的というか、そこまで頭が悪くないからね。にじみ出るオーラが違うんだよ。きっと」
「それって、私がバカだって言いたいの?」
「いや、元からの素質があるってこと。頭が悪い人がいくら似合うメガネをかけても、知的には見えないってこと」
それからもいろいろなメガネをかけてみたが、結局、親友が勧めてくれたスクエア型の上だけのフレームがついたメガネを紫外線カットとブルーライト付きのレンズで購入することにした。みさとはレンズを入れるのに処方箋がいるため、今回は購入しなかった。
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