10人が本棚に入れています
本棚に追加
*
『でも……』
「うん?」
『よく気づいたよね。昨日、Delaygramのプロフ変えたの』
「ああ……たまたま、だよ。たまたま凛花のところを見に行ったら、たまたま目に入った。栞奈とか公開予約を失敗したんじゃないかって言ってたよ」
『それひどいな』
凛花が笑う声が聞こえた。
「でも、本当だったってことか」
『そう……だね』
凛花のプロフィールに書かれていた『黙っていなくなることを許してください』というメッセージ。あれは誰に対してのものなのか。
『誰かが気づくかなって、なんとなく更新したんだ。プロフなんて見る人いるかなって思ったけど、こっそり告白? 独白? 贖罪? なんか……よくわからないけどね。気づいてくれて、嬉しかったよ』
「だから……たまたまだよ」
『それでも嬉しかったよ』
その言葉にちょっとむずがゆくなるような感覚があって、いたたまれない私は髪を右手の人差し指でぐるぐる巻いて、巻いて、巻いた。何やってるのかよくわからないけど、巻いた。
「ねえ、凛花?」
『んー?』
「また……、会えるよね?」
沈黙。
私の言葉のあとに、凛花は沈黙した。
どうして、何も答えてくれない?
最初のコメントを投稿しよう!