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梅雨時期なのに今日に限って日差しが眩しい。上司に頼まれ急ぎの郵便を出しに行った帰り、私はふらりと神社に寄り道した。
ハンカチで汗を拭いつつ、年季の入った拝殿で頭を下げる。
「今のお仕事をずっと続けられますように。パートだけど……」
都会のオフィス街の片隅にあって、この神社は平和的で穏やかで落ち着く。広めの参道は木々に囲まれており、静けさを保っていて居心地がいい。
「あれ?」
参拝を終えて歩いていると、来た時には気づかなかった一角が大々的な工事中になっていた。
「なんだろう?」
「遷宮ですよ」
背中側からの声にびっくりして振り返ると、作務衣姿の若い男の子がホウキ片手に微笑んでいた。
「すみません急に話しかけちゃって。僕、ここの宮司の甥っ子で。怪しいもんじゃないです」
「はあ」
「本当に怪しくないですよ?たまたま今だけ下宿させてもらってて」
男の子は恥ずかしそうに怪しくないと繰り返していて、少し面白い。
「怪しいなんて思ってませんよ。あの、それより遷宮って?本殿の引っ越しってことでしたっけ?」
「一時的です。あそこで工事している建物は神様の仮住まいになります。完成したらあっちにご神体を引っ越しさせて、本殿を建て替えたらまた戻ってもらうんです」
「2回もお引っ越しするんですね?なんだか大変そう」
1度の引っ越しだって大変で億劫なのに。なんて考えていると、男の子は私の心を見透かしたようにクスリと笑った。
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