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「あれ?パートさんまだ残ってんの?」
日中に大林さんの分の仕事と、上川さんのサポートを繰り返していると業務が定時で終わらない日も出てきてしまう。
なので穴埋めのため、今日も居室に残って一人パソコンを叩いたり資料のファイリングをしたりとバタバタしていた。連休が近いからか部署には私しかいない。
「はい、少し手間取ってしまって」
「ったく。もうちょっと社会人スキル磨いたほうがいいんじゃないの?呑気でいいよな」
攻撃的な言葉のせいでズキッと胸に痛みが走って、つい顔が歪んでしまった。
「なにその顔?なんか文句でもあるの?あるなら辞めてもらったっていいんだけど」
それはだめだ。パートの席を捨ててここを出ていくなんて。そっちの方が怖い。
「文句なんて……ありません」
必死で首を横に振ると、大林さんは私が逆らわない対象だと認識したのか、途端にギラついた両目を向けてきた。
「あとさ。そのスカートだけど」
え?スカート?ただの地味な黒いスカートだけど。
「丈がちょっと短くない?もっとこう、裾をさあ」
大林さんは薄ら笑いで、なんの躊躇もなく私のスカートを掴もうとしてきた。驚いて思わず思い切り後ずさってしまう。なにこの人!? もうイヤだ、どこか行ってよ……!
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