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「パートさん、これ今日中にデータ打ち込みよろしくな」
「え……?」
会社に戻って定型業務をこなしていると、急に横からファイルの束を押し付けられた。この仕事の担当は目の前の正社員、大林さんのはずなんだけど。
「マニュアルならそこの棚のどっかにあるし。読んでやっといて。今日からその業務、パートさんにあげるよ」
あっさりと言った大林さんは書棚を目線で指しただけで行ってしまった。
「パートさんかぁ」
パート生活をはじめて2か月を過ぎたけど、大林さんは一度も私の名前を呼ばない。私だって田山成美って名前があるんだけどなぁ……。
「関係ないのよ。正社員の中では私らパートは全部一緒。でもまあ、私と違ってあんた若いんだし、仕事もできるんだし?正規の人間としてさっさと転職したほうが身のためよ」
隣の席の剛力さんが吐き捨てるように言うと、大きな音を立ててコーヒーを啜った。
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