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「あとさ、イエスマンはやめときな?私らパートなんだし、決まった仕事だけこなしてたらいいんだからさ」
「はあ」
気のない返事をすると、剛力さんは私をじっと見つめながら、今度は遠慮がちにコーヒーを飲み干す。
「せっかく大卒で入った会社、休みなしで働いて身体壊したんでしょ?」
「え?なんで知って……」
「大林とか他の正社員達がべらべらしゃべってんのよ」
プライベートな事情をあっさり知られていることに驚いて、思わず肩が震える。
確かに昨年、私は入社した会社をあっさりと退職したのだ。休みらしい休みもなく、毎日始発で出勤して終電で帰る日々で身体を壊した。あれからまだ、月のものだって不安定だ。
「ありがとうございます剛力さん。でも大林さんも忙しいんだと思うので。今日から私がこれやりますから」
だから、半端者の私をパートとしてでも拾ってくれたこの会社には感謝してるし、パートの席という居場所を守るのは私の中の最優先事項となっていた。
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