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「わかんないことあったらそこのパートさんたちに聞いて。書類の場所とか印刷機の場所とか?業務内容とそれに使うものの場所がわかれば仕事なんてすぐだろ」 じゃあよろしくと、なぜか私の背中に触れて言った大林(おおばやし)さんはタバコ片手に部屋を出て行ってしまう。喫煙所に行ったら1時間は戻らないはずだ。 「では皆さん、今日からよろしくお願いします」 私達に向かってもう一度頭を下げた上川(かみかわ)さんは、落ち着いた様子で席に着いた。それからテキパキと支給されたパソコンを立ち上げて設定を済ませ、マニュアルを開いてあれこれ作業している。大丈夫かな?心配でなんとなくその様子を眺めていたら、急に顔を上げた彼とばっちり目があってしまった。 「田山(たやま)さん、気にかけてくれてありがとうございます」 「いえ、そういう訳じゃ……」 「それで、ここの設定がさっきから引っかかるんですけど」 「え?ああそれ、いくつか事前作業が必要だと思います。ちょっと待っててください」 私は上川(かみかわ)さんの横へ移動して設定を一通り直してあげる。というかこれは最初にやるべきルーティーン作業だ。あとでアプリを使って自動化してしまおうと密かに決意した。 「ありがとうございます田山(たやま)さん。配属先に優しくて、しかも知ってる人がいて安心しました」 「?」 「僕のこと覚えてますか?」 えっと……あれ?この子は確か。 「あ。もしかして神社の?」 言ってみると、上川(かみかわ)さんは嬉しそうに笑った。作務衣がスーツになるとこうも印象が変わるんだと驚いた。
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