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「この世界には、いくつかの大陸がありますが、転生先は、このエルガルム大陸になります。」
イーネスは、白い空間に地図を浮かび上がらせる。
「大陸の中央には、カコンシス王国があり、お城が建っています。」
「鳥になってたときに見えたやつか。」
「そうです。」
「貴族などの身分制度があり、北東に魔族領があるので、王国騎士団などの強い武力を持っています。そして、まだ現れていない勇者を探しています。」
「俺が、断ったから?」
「はい。」
「なるほど。別の誰かが転生してくるの?」
「それは、秘密です。」
イーネスは、口元に人差し指を立てた。
「了解。」
「北西の交易都市・アンネリエは、海に面しているので、漁業や貿易など、大陸内外と物通が盛んな街です。」
「おおお。それは行ってみたい。」
「とても賑やかなので、楽しいと思います。」
イーネスは、指をクルクルと回しながら話した。
「南西の生産都市・エーヴァは、海に面してはいますが、漁業を主としていません。広大な穀倉地帯で、山林や鉱山から採れる資源で物を作り、それを流通させています。」
「アンネリエとは、全然違うんだな。」
「アンネリエと比べるなら、とても静かで穏やかな街です。」
イーネスは、微笑む。
「南東の第二都市・ランヒルドは、カコンシス王国と同様、魔族領が北にあります。カコンシス王国は、砦を築いて防衛をしていますが、ランヒルドは、魔物を討伐したり、動物を狩ったり、それらから採れるものを資源として流通させています。」
「異世界っぽい。」
「そうですね。ランヒルドには、冒険者ギルドがあるので、よくある異世界のイメージに近いと思います。」
「冒険者とかいいな。ちょっとワクワクしてきた。」
「それなら良かったです。」
勇人は、ただただ気が重かった転生も、悪くはないと思い始めた。
「ここまでの説明で、疑問点とかありますか?」
「大丈夫だよ。知らないことを知ったり、自分で見て聞いたり、そういうのを楽しむよ。」
「素敵な考えですね。いいと思います。」
「へへへ。」
勇人はイーネスの言葉に、照れ笑いをする。
「年齢は17歳のまま。ランヒルドの中心地から少し離れた『ベルナベ』という街の近くに転移させます。冒険者ギルドがあるので、まずはそこを目指してください。」
「わかった。」
「では、良い異世界生活を!」
「イーネス、ありがとう!」
勇人は光に包まれ、謎の空間から姿を消した。
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