9- パーティー結成

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「あの。掲示板の合宿メンバー募集の貼り紙は、あなたがしたのだと聞きました。募集はしていますか?」 女性というより、まだ少女のようにも見える人物が声を掛けてきた。 「俺で合ってるよ。メンバーも募集中。」 「私、まだEランクなのですが、参加できますか?」 「問題ない。俺は、ウィル。ランクCの剣士。」 「アサレアです。魔法使いで攻撃魔法を得意としています。」 勇人は、アサレアが持っている杖に目を向けた。 「杖に水晶ってことは、魔力量を増幅してるってことだよね?」 「そうです。攻撃魔法を連打するので、魔力切れにならないようにしています。」 アサレアは、視線を杖に移した。 「へぇ。連打って、どれくらい?」 ウィルの問いかけにアサレアは顔を上げた。 「中級魔法を5連打です。」 それを聞いたウィルは、口笛を吹いた。 「それで、ランクE?」 「あ、はい。一人だと上手く立ち回れなくて、この合宿で何か掴めたらと思っています。」 「なるほどね。」 勇人が二人の会話の意味を聞こうとしたとき、一人の女性が近付いてきた。 「ウィル。来てあげたわよ。」 「来てくれて嬉しいよ、トニア。ありがとう。」 トニアと呼ばれた女性は、ウィルと握手を交わした。 「ハヤト。サポート役をお願いした人だ。」 「俺、ハヤトです。ランクFで実戦経験がほとんどありません。なので、色々と勉強させてください。」 「トニアよ。ランクはA。魔法使い兼サポーターよ。」 勇人は、トニアが差し出してきた手を握り返した。 「トニアは、Sランクパーティー【流星(りゅうせい)(ほのお)】の一員なんだぜ。」 「え。流星の炎って・・・ルカーシュさんのところですよね?」 「流星の炎?」 「メンバーはランクがA以上、ダンジョン攻略をメインに活動をしているパーティで、ルカーシュさんは、そこのリーダーです。カコンシス闘技大会に三年連続ランヒルド代表に選出されていて、昨年は優勝した人です。」 何もわかっていない様子の勇人に、アサレアは説明をした。 「すごい人ってことだね。」 アサレアは、無言のまま何度も頷いた。 「今年の代表選出戦にも出場されるのでしょうか?」 「するわよ。ルカーシュは、人にキャーキャー言われるが好きだから。」 トニアは、お腹を抱えながら、声を出して笑った。
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