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翌朝。勇人とトニアはポーションや薬草を買い、ウィルとベルトルドとロマーノは装備屋で武器の手入れをし、勇人との買い物を終えたトニアは、アサレアと合流し、雑貨店へと向かって行った。
勇人たちが買ったものを荷馬車に積んでいると、プリモのアイナとロッタやエリアスや街の人たちが見送りにやってきた。
「ハヤトくん。ウィル。体調には気を付けて、元気な姿で帰ってきてね。」
アイナは、二人の頬に手を添えて優しく微笑んだ。
「ありがとうございます、アイナさん。」
「ハヤトくん、また戻ってきたら遊んでね。」
アイナと手を繋いでいたロッタは、淋しそうな表情を浮かべていた。
「うん。戻ってきたらまたいっぱい遊ぼう。」
勇人は、ロッタと視線を合わせるためしゃがみ、ロッタの頭を撫でた。
「ハヤト、約束だからな!」
「あぁ、約束だ。」
勇人は、エリアスたちの頭をポンポンと軽く叩いた。
「よし、全員揃ったな。出発しよう。」
「いってきます!」
勇人たちは、見送りに来てくれた人たちに手を振り、ベルナベの街を後にした。
「ウィルって、馬を引けるんだね。」
「まさか・・・ハヤトさん、馬に乗れないとか?」
「うん。乗ったことないよ。」
全員が驚いた顔で勇人のほうを向いた。
「あれ?みんな、乗れるの??」
勇人は、首を傾げた。
「私は乗れますが、苦手です。」
アサレアは、目を閉じ、唇を軽く噛んだ。
「え。じゃぁさ。ベルナベにはどうやって来たんだよ。」
不思議そうな顔をしながら、ロマーノは勇人に尋ねた。
「どうやって・・・歩いて、かな?」
勇人は、視線を宙に泳がせながら答えた。
「歩いて?どこから??」
今度は、ベルトルドが尋ねた。
「えーと・・・。」
「ストーップ!そこまでにしておきましょう。まだ出会ったばかりだもの。話しにくいことだってあるわよ。」
パンと手を叩き、トニアが会話に割って入ってきた。
「ありがとう、トニア。」
「いいってことよ。でも、いつかは話してくれると嬉しいわ。」
「う、うん。いつかね。」
勇人は、トニアの言葉に胸を撫で下ろした。
(そういや、ウィルはこういう話を聞いて来たりはしないよな。)
「おーい。カルムの街が見えてきたぞ。」
ベルナベを出発したときは、太陽がちょうど真上にあったが、今は夕空が広がっていた。
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