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いよいよ三年生になる今になって、ぼくはあせっている。
同じクラスの風香ちゃんのかわいさに、ほかの男子どもも気付いてきたからだ。
ぼくが風香ちゃんを好きになったのは一年生になってすぐのとき。
たくさんの女子のなかで、風香ちゃんだけがキラキラだった。
風香ちゃんはしずかで、ふんわりしていて、やさしい。
ぼくはなんども話しかけようとしたけれど、かならず美菜のじゃまがはいる。
バカな男子どもが風香ちゃんをからかったりするから、すっかり美菜がけいかいしてしまっている。
美菜も美菜で、バカだと思う。ぼく、一度だって風香ちゃんにいじわるなんてしたことないのに。すこし近づこうものなら、「ちょっと栄太なに?」とわりこんできて、「行こう」と風香ちゃんを連れていってしまう。
そのくせ、風香ちゃんがいないと、ぼくのぼうしを取って逃げたりしてからかってくる。本当にいやなやつ。
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