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4月13日〜14日「横浜飯」
夜行バスに7時間揺られ、たどり着いたのは横浜駅周辺のバスターミナル。
初めて訪れたその場所は一見、地元、東大阪と何ら変わらぬ景色で僕達を迎え入れた。
ただ、要所要所に見られる横浜の色は僕達に根拠の無い期待感を植え付けた。
「とりあえず、二郎ラーメン食うか」
消灯後の闇に包まれたバスの中、画面の明るさを最小限に抑えたスマホとにらめっこしていたアサは車酔いという犠牲を払い、早朝6:00から開店している二郎系ラーメンを探し出した。
「朝の7時過ぎやで?俺ほぼ寝れんかったし。二郎入る腹か?」
「まぁ、歩けば腹は空くやろ」
歩行最強主義者であるアサは「歩く」という行為が1番効率的で有意義で何よりの娯楽だと誤解してる。
だが、今回ばかりはアサの意見に同意する。
なんせ、財布の中では樋口一葉が申し訳なさそうに小さくなり息をするだけで、他の偉人は当然、硬貨すらも1円玉数枚しかないのだから。
そんな僕達2人にとっては電車賃のわずか数百円すら痛手となる。
それならばアサのいう「ハングリーピッグ」という名の店まで歩こうではないか。
40分かかると聞いたが、僕は躊躇なく首を縦に降り、「歩こう」と力強く復唱した。
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