2.猫に転生?

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2.猫に転生?

 ということは···私、悪霊になったの?  嫌です。  神様、私思い残すことはないです。  バルコニーからの転落死でいいです。  生き残って猫になって、大好きな彼が他の人とイチャイチャするところなんか見たくもないです。  この人生を完結させて下さい。  百年後でもいいので、出来ることならもう一度、人生を一からやり直し、贅沢な生活ができなくても、愛し愛される人と一緒にいたいです。  私の望みはそれだけです。  猫に憑依してまで、生きていたくありません。 「ああ、シャー起きたのか?」  へっ?聞き覚えのある声がした。 「ニャー、ニャン」(えーーーっ。カイト様?) 「なんだシャー。今日は元気だな」  カイト様の顔が近づき、私の頭に自分の頬をスリスリしてきた。  幸せだ。神様、私いつ死んでもいいです。 「シャーは可愛いな」  神様、やっぱり私、猫のままでいいです。 「今日は出掛けないといけない。いい子で留守番してろよ」 「ニャー」(かしこまりました) 「シャーは返事ができて賢いな」  カイト様は目を細め私の頭を優しく撫でた。  彼は名残惜しそうにしながら、部屋を出ていった。  このままでは心臓がもたないと、ルーナは心の底から思った。  カイトは婚約者のルーナのお見舞いのため、モントン伯爵家に来ていた。  彼女がバルコニーから転落して三日が経っていた。 「いらっしゃいませ。ハーマン様」 「ルーナ嬢のお加減はいかがでしょうか?」 「お変わりありません」 「そうですか」  カイトはモントン伯爵家の執事と話をしていた。 「ハーマン様、旦那様の執務室にご案内致します」 「ああ、わかった」  カイトはモントン伯爵の元に向かった。 「カイト殿、わざわざありがとう」 「いえ、私には何も出来なくて申し訳なく思っています」 「娘のお見舞いのことだが、今日で最後にして下さい」 「どういうことでしょうか?」 「娘の意識が戻らないまま三日経ちました。体には無数の傷があります。特に右腕には大きな傷があり、自力で動かせるかどうか分かりません。婚約を白紙に戻しましょう。違約金はこちらの方で用意致しますので、お父上のハーマン伯爵様にお伝え下さい。こちらからも手紙を送ります」 「承知致しました。父に伝えます。最後にもう一度ルーナ様のお顔だけ見て帰ります」 「何故ですか?今さら娘にこだわる必要があるのですか?カイト殿なら他にもたくさんのご令嬢がいらっしゃるのでは?」 「半年間とはいえ、ルーナ嬢は私の婚約者でしたから···」 「いいでしょう。今日が最後ですから」 「ありがとうございます」  カイトはモントン伯爵の執務室を後に、ルーナが眠っている部屋を訪れた。
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