ミケ猫捜索

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ミケ猫捜索

 すぐさまボクたちはミケ猫捜索隊を結成し現場へ急行した。  ジョーカーの運転する真っ赤なポルシェだ。とても探偵が使う車とは思えない高級車だ。  もちろんジョーカーの車ではない。天才外科医の車を使わせてもらっているみたいだ。  ボクたちは飼い主の近所を重点的に探した。  ルナが外を歩くとすぐにオス猫たちが集まってきた。  おそらくフェロモンに引き寄せられるのだろうか。 「これでミケ猫が来れば楽なんだけどな」  ジョーカーは、缶コーヒーを飲みながら笑った。いい気なものだ。 「そうですね」確かにそんな楽なことはない。  空き家の縁の下などを懐中電灯をつけて覗き込んだ。 「何しろペット探偵はスピードが命だからな。時間が経つにつれて迷い猫の発見率が下がるんだよ」 「はァ、そうなんでしょうね」 『ニャーニャー』  そのうち、うるさいくらいオス猫が集まってきた。  いくつかのテリトリーを探し公園まで来るとまたオス猫を中心に集まった。  その中にミケ猫がいた。 「あ、あの猫!」  ボクが指を差すと同時にジョーカーはミケ猫を捕獲していた。  瞬間移動したみたいだ。さすが正義の味方と言ったところだろうか。 「ケッケケッ、サンキュ。ルナ!」  ジョーカーはミケ猫を抱きしめて嬉しそうだ。  その後、ジョーカーは依頼者にオスのミケ猫を渡し相応の成功報酬を貰った。  思った通りミケ猫の飼い主はかなりの資産家だ。  夜になって、ジョーカーはボクの家で細やかな祝賀会を催した。 「よォし。ワンタン。オレたちのジョーカー探偵事務所の再出発を祝って乾杯だ」  すでにジョーカーはかなり酔っていた。 「再出発って?」ボクは飲めないので、アイスコーヒーで乾杯だ。 「ここで事務所開きするんだよ!」  勝手に話しを進めた。 「はァ、ここってボクの家でしょ」 「良いか。ワンタン。お前みたいな優秀な探偵助手は滅多にいないんだ。これからもよろしく頼むぞ」  まったく口だけは達者だ。  探偵助手といっても、おそらく縁の下に潜ったり尾行や汚い仕事ばかり押しつける気だろう。  しかし今は暇なので探偵助手も悪くない。 「ワンニャ!」  ルナはボクの隣りに座り顔をペロペロ舐めてきた。 「ハッハハッ、くすぐったいよ。ルナ」  しかしそのうち借りたくなるくらい忙しくなるかもしれない。    おしまい
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