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ミケ猫のオス
「ああァ、成功報酬だからな。まァ着手金はお車代程度さァ。ペットを見つけ出して、ナンボなんだよ」
「はァ」
「最終的にはマタタビでおびき寄せるしかないけどなァ」
「ええェッ、でもマタタビは中毒性があるんじゃないの?」
「ああァだから最終的にはだよ。オレだって使いたいワケじゃないけど」
「じゃァルナが見つけて上げるニャン」
ルナはボクにしがみついたまま応えた。
「おおォ、そうか。じゃァ頼むよ」
ジョーカーは渡りに船とばかりにスマホの画像を見せてきた。
「このオスのミケ猫だよ。名前はミケノスケだ」
「ふぅん、ミケノスケねえェ。でもミケ猫はメスしかいないんじゃないの?」
どこかのクイズ番組で聞いたことがあった。ミケ猫のオスは大変、珍しく貴重だそうだ。
「ああァ、だからマニアなら二千万円でも出すってヤツもいるくらいだ」
「なるほどねえェ。二千万円かァ。だからペット探偵の出番なんですねえェ」
「そうそうッ、地元で迷い猫になってるなら良いけど、ミケ猫専門の誘拐だったら大事だろう。それに車の事故も怖いし。できるだけ早く見つけないと!」
「確かにそうですね」
オスのミケ猫を飼うくらいだから、飼い主は資産家かもしれない。
子供を略取誘拐すれば、かなりの重罪だ。
しかしペットならそれほど罪も重くない。
顔を覚えられる心配もないので誘拐犯としてはお手軽だ。捕まるリスクも圧倒的に少ない。
「まだ依頼者は身代金を要求されてはいないから誘拐犯じゃないとは思うけどなァ」
「そうなんですか」
「わかったニャン。ミケノスケのテリトリーはどこニャン?」
ルナもやる気を出したみたいだ。
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