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菜乃は彼らの姿を確認すると、符を己の目の前に構え、厳かな声でこう告げた。
「式神憑依……急々如律令!」
同時に、彼女は2枚の符を私と王真に向け、鋭く投げ放つ。
私達の身に触れるや、溶け込む様に肉体の中に消え、同化していく符。
すると、私の肉体を蒼い鎧が包み込み、王真のしなやかな肢体には月色の比礼が絡みつき始めた。
「お前……何をするつもり?!」
事態の異変を察し、鋭い水の弾を何発も放つ花子さん。
しかし、私は腰の鞘から鋭い刀を抜き放つや、霊力を纏うその刀で全ての弾丸を切り裂いた。
これには、流石の花子さんも驚いた様で、大きく飛び退るや、私達から距離を取る。
「お前達、その姿は何?!一体何をしたの?!」
すると、美しい天女の様な姿に転身した王真が、その可憐さに合わぬ乱暴な口調で、こう答えた。
「憑依はなにもお前だけの専売特許じゃねーってことだ」
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