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私の名前は、ユージーン・レグムント。25歳。
レグムント帝国第1王子にして、レグムント帝国守護騎士団の団長だ。
私は今、勇者一行と共に、我が祖国を蹂躙する魔王を討伐する為、魔王の居城を訪れていた。
「ここまでだ、魔王……!」
目の前で玉座に悠々と腰掛ける魔王に向け、剣を向けると私はそう告げる。
すると、長い黒髪を妖しく靡かせ、ゆっくりと玉座から立ち上がる美しい魔王。
「よくぞここまでやって来たな、人間共よ!褒美として我が奥義をその身を以て堪能させてやるわ!」
彼は、そう語りながら高々と右手を虚空へと突き上げた。
魔王の手に、禍々しい漆黒のエネルギーが集まっていくのが見える。
(あんな物……今の我々に受け切れるのか?!)
私は内心、そう戦慄する。
実は、ここまでの旅路で勇者一行は僧侶と射手が死亡してしまい、残りのパーティーメンバーは既に3人になってしまっていた。
しかも、その残るパーティーメンバーの勇者、魔法使い、戦士もここまでの激しい戦闘で既に瀕死の状態だ。
また、私の指揮する騎士団も、最早残っているのは私1人になってしまっている。
それでもーー。
「魔王……いや、元親友よ!お前は私が止めてみせる!」
私は最期のーー全ての力を振り絞ってそう叫ぶと、剣を構える。
一方、元は人間であり、私の無二の親友であった青年ーー魔王リスティファも哄笑を上げながら、右手のエネルギーを私に向けてくる。
「良いだろう。やれるなら、やってみせろ!ユージーン!」
「望むところだ、魔王!……いや、リスティファ!」
瞬間、魔王が邪悪なエネルギーの塊を容赦なく私達に向け、撃ち放つ。
同時に、私も聖剣から、今放てる最大の純白の斬撃を抜き放った。
「これで終わりだ、王子!」
「この国を守り切るまで、私は倒れる訳にはいかぬ!」
激しくぶつかり合う、白と黒のエネルギー。
それは激しい衝撃と爆発を起こしーーその中心にいた私と魔王は、逃げる間もなく激しい爆炎に飲み込まれていった。
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