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その後――汐留はイタリア街にある我が家に帰宅し、夕食を終えた私達。
すると、食後に王真が私の部屋を訪ねてきた。
「お兄ちゃんだぞー。雄英、あっそぼっうぜっ」
そう言うが早いか、私のベッドに陣取り、大量のスナック菓子を並べ始める王真。
彼はその中の1つをいそいそと開けるや、ごろりとベッドに横になる。
そうして、私のベッドに転がりながら、スナック菓子を食し始めた。
彼が魔王だった頃の部下達が見たら、号泣しそうな光景だ。
私は、ティッシュの箱を兄に差し出しながら、念の為、釘を差しておく。
「兄さん。シーツを洗濯したばかりなんだ。頼むからこぼしたり汚したりしてくれるなよ」
「りょーかい!」
ポテトチップスを掴んだ手をひらひらさせながら、気楽な声で答える王真。
彼は私のベッドの上でポリポリとスナック菓子をかじっていたが、暫くすると不意に私のことをじっと見つめてくる。
「どうかしたか?兄さん」
私は床に置いたやや大きめのクッションに腰掛けながら、今日の宿題を進めていたが、兄の視線に気付き、彼の方に視線を向けた。
昔と同じ、宝石の様なアイスブルーの瞳で私を見つめる兄。
彼は小さく首を傾げると、こう問いかけてきた。
「そう言えば、試したことなかったけどさ?俺達ってほんとに、もうスキルが使えないのかなー?」
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