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「兄さんも私も、全てのスキルを引き換えにしたからこそ、こうして逢えたのだろう?使える訳ないじゃないか」
私は兄の戯言にため息を吐くと、再び宿題に目線を落とす。
しかし、兄は諦めなかった。
「けどさぁ?なんて言うの?上手く言えないけど、おでこの辺りがたまにもやもやむずむずするんだよ〜」
「はぁ……?」
(意味がわからない)
感覚だけで物を言う兄に呆れながらも、私は昔のことを思い出し、ふと笑みを零した。
(そう言えば、リスティファはこういうやつだったな)
いつも感覚で物を言われては困らせられたっけ。
ただ、彼の感覚――所謂、直感やフィーリングは、不思議と正しいことが多かった。
こういうのを野生の勘とでも言うのだろうか。
(まぁ、それでも……どうせ、使えるとは思わないが)
私は試しに、『鑑定眼』を起動してみた。
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