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と、私の目の前に――現代日本でいうところの、ゲームのステータス画面の様に情報が表示される。
『名前:天魔使 雄英
種族:人間
所持スキル:鑑定眼
女神の祝福(人間離れした頑強さ)』
(人間離れした頑強さってなんだ。私は妖怪の『ぬりかべ』か)
とは言え、きっとこの頑強さのお陰で、私は体育館の壁に激しく頭を打ち付けても無事だったのだろう。
(これは……また、あの女神に感謝しなくてはならないな)
私は一人、そんなことを考える。
すると、いつまでも黙ったままだった私を不審に思ったのか――ベッドから降りた兄が私を覗き込んできた。
「ゆーうえい?俺の可愛い弟ちゃん。さっきからどうしたんだよぅ」
形の良いアーモンド型の蒼い瞳が、じっと私を見上げて来る。
と、『鑑定眼』を起動したままだった為か、兄のステータスが視界に表示された。
『名前:天魔使 王真
種族:人間
所持スキル:俊敏さ
魔女神の祝福(18歳になった誕生日からどんな霊もくっきりはっきり4K画像で見える霊感)』
(……果たして、霊感は祝福と言って良いのだろうか……?)
実は兄ことリスティファは、昔からお化けや幽霊が苦手で――魔王になった後も、自軍の仲間ながらゾンビや悪霊の姿を見る度に悲鳴を上げていた、超がつく程の怖がりなのだ。
そうして、その性質は王真として転生した今もバッチリ引き継がれている様で――。
以前、家族全員で夕食後にリビングで寛いでいた際、ホラーが大好きな母が、いきなり録画していたホラー映画を再生しだした時などは、まるで猫の様に飛び上がって私にしがみついて来たのである。
(そんな王真が霊感持ちになるのか)
しかも、兄の18歳の誕生日と言えば、先日過ぎたばかりだ。
(これを知ったら、きっともっと煩くなるのだろうな)
私は、そっと心の中でため息を吐いた。
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