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「全てのスキルを捨てて平和な異世界に転生した筈なのに……何故、自分達にはスキルが残っているのか。さぞ疑問に思っていることでしょうにゃぁ!」
猫が喋った。
瞬間、この世の終わりの様な悲鳴を上げる王真。
「あああああ?!猫が喋ったぁぁぁ!化け猫だぁぁ〜!雄英、塩!塩と御札ー!」
喋る猫に対しては、私も色々とツッコミたい事はある。
が、このまま王真がパニックを起こしていては全く会話にならない。
私は取り敢えず、冷蔵庫から兄の餌付け用に買っておいたストロベリードーナツを取り出し、有無を言わせず兄の口に宛てがった。
「お、俺がこんな物で騙されると思うなよ!……美味しい美味しい」
私にしがみついたままではあるが、一旦大人しくなる兄。
その間に、私は我が家の飼い猫達に話し掛けてみた。
「お前達、私達のスキルの事を……いや、それだけじゃない、私達の前世の事も知っているのか?」
すると、私の言葉にゆっくりと頷く2匹の猫達。
2匹は、私を見上げたまま、こう告げた。
「知っているも何も、私達があなた達をこの世界に転生させた女神と……」
「魔女神なんだにゃ!」
「…………は?」
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