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「「にゃっ!」」
勢いよく頷く猫二匹。
と、未だ私に蝉のごとくしがみついたままの王真が、そのままの状態で意見を述べてきた。
「けど、弱体化ってどの位なんだよ?俺達、もう普通の人間なんだぜ?魔物なんかと対戦したら殺されちまうよ。俺は前世で散々やらかしたから、殺されるってのも仕方ないかもしれないけど、雄英が殺されるのだけは絶対にダメだ。俺、雄英には、今度こそちゃんと幸せになってほしい」
がしっと私の肉体を華奢な四肢でホールドしたまま、至極真面目な顔をしてそう語る兄。
その気持ちはとても嬉しいのだが――私は兄をひっつけたまま、兄の意見に言葉を付け加えた。
「兄さん?気持ちは嬉しいが、私の幸せを願ってくれるのならば、兄さんにも生きていて欲しい。兄さんが幸せでなければ、私も幸せではないんだ」
「雄英……」
紛れもない私の本心からの言葉に、アイスブルーの瞳を潤ませる兄。
そんな私達に「へっ」と小馬鹿にした様な息を吐きながら、黒猫が告げる。
「安心しろにゃ。魔物達は、もう蟻位に弱体化してるにゃ。私達でも倒せるレベルにまで、全力で呪ったからにゃ!」
「ただ、私達は能力を呪いと退治に全振りしてしまった為、魔物達を探知する力が残っていないのですにゃ」
「にゃ。だから、神様に頼んで、騎士王子の『鑑定眼』を特別に戻してもらったんにゃ」
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