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翌日、猫達は勿論家で留守番をさせ、学校に向かった私と王真。
と、昇降口の辺りが何やら騒がしい。
「なんだなんだ?どうしたんだ?」
持ち前の強い好奇心で、私の手を掴んだまま、どんどんと人だかりの中に身を投じていく王真。
兄に手を引かれるまま、私も沢山の人が集まるその中心へ、ずるずると引きずられていく。
すると、その中に兄の友人らしい生徒がおり、何が起きたのかを詳しく話して聞かせてくれた。
「なんかさ?高校なのに、トイレの花子さんが出たらしいぜ?」
「トイレの花子さん?!」
怪談が苦手な王真――私の手を掴む彼の力が格段に強くなる。
しかし、友人の前で情けないところは見せられないとでも思ったのか、兄はしれっと平気そうな表情をしたまま、会話を続けた。
「花子さんなんて小学生か……精々、中学生位までのもんだろ?高校に出るなんてありえねーよ」
しかし、兄の友人は真剣な表情を作ると、声を顰めてこう告げる。
「けどさぁ?現に、うちのクラスの女子が見たらしいんだよ。しかも、そいつと同じグループの女子が、花子さんに呪われちまったみたいなんだ」
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