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放課後。
花子さんのことが気になり、私は嫌がる王真を引きずる様にして、女子トイレの前に来ていた。
各休み時間を使ったここまでの調査で、あのずぶ濡れの女生徒は、王真と同じ学年の生徒だということが判明している。
(つまり、当然ながらというか、あのおかっぱの女の子の方が花子さんなのだろう)
幸い、私の鑑定眼でも彼女の種族はただの霊だと表示されていた。
つまり、魔物ではなく、所謂本物の幽霊というやつなのだろう。
なので、本来私達が関わる必要はないのだがーー。
あのずぶ濡れになった少女の眼差しーー。
あの瞳が、昔故国で見た……魔族に全てを蹂躙され、生きる気力を失くした民のソレに非常に似ていて、私はどうにも気に掛かっていたのだ。
こうして、女子トイレにやってきた私達。
が、当然のことながら男子である私達は入れない。
故に、トイレの外から呼びかけてみる事にした。
「花子さん?君と話がしてみたいんだ。……あのずぶ濡れになっていた生徒の件について」
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