1217人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
死霊伯爵が言葉を重ねる度、花子さんの表情は戸惑いから怒りに変わっていき、その瞳には憎悪の炎が揺れ始める。
「希望……そうよ、あの子が、愛美が、私に希望をくれたのに……私はっ……！」
吐き出す様にそう叫ぶ花子さん。
「私は、愛美に何もしてあげられなかった！このまま愛美を失う位なら……また、1人に戻る位なら、私は全てを壊す……愛美以外の人間なんていらない！！！」
花子さんが大きくそう叫ぶと同時、死霊伯爵の姿が霞み、彼が花子さんの肉体と融合する。
瞬間、恐ろしく邪悪な気を放つ紫の光に包まれると同時、花子さんの姿が大きく変化した。
なんと、その小さく幼かった手足はスラリと伸び、大人の女性の姿へと変わっているのだ。
加えて、子供らしい赤いジャンパースカートに白いTシャツだった衣装も、今は貴族の貴婦人を思わせる様なーー真っ赤なゴシック風のドレスへと変化している。
おかっぱだった黒髪も踵まで伸び、完全に『トイレの花子さん』ではなく、別の何かに変化してしまった花子さん。
彼女は、紫色に妖しく光る瞳を私達に向けると、その両手から容赦なく水の弾丸を放って来た。
最初のコメントを投稿しよう！