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「お前のほうこそ、さっきから何なんだよ。第一、化け物化け物ってなぁ。あの花子さんを見たろ?お前にとってはあの子は化け物かもしれねーけど、ちゃんと心がある……あの子だって生きてる、ちゃんとした存在なんだ。この世界の一員なんだよ。それを、お前は何の権利があって殺そうとしてるんだ」
すると、少女は私達を鋭く睨みつけたままーーしかし、毅然とこう言い放った。
「それは、私が陰陽師だからよ。私の名前は冴種菜乃。平安時代から続く、古き陰陽師の一族の末裔にして、化け物を狩る者よ」
と、そんな彼女の横を掠める水の弾丸。
同時に、私達が壁にしていた給水塔が大きな音を立て崩壊した。
どうやら、花子さんが派手にやってくれたらしい。
逃げ場のなくなった私達は、改めて大人の姿になった花子さんと対峙する。
瞬間ーー。
「さっきのお返しよ」
水の弾丸を何発も乱射してくる花子さん。
(これはーー!)
流石に、まずい!
私は、猫達を乱暴に制服の両のポケットにしまうと、最愛の兄と陰陽師の少女を抱え、大きく横に飛んだ。
けれど、流石に水の弾の方が数が多かったのかーー何発もの弾丸が私の背中を抉り、傷つけていく。
その焼ける様な激しい痛みに、思わずうめき声を漏らす私。
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