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その後、私達は身を寄せている屋敷ーーこの菜乃の家で、夕食をご馳走になりながら彼女の話を聞く。
どうやら彼女は、昔、妖怪に両親を殺され……一人生き残ってしまったらしい。
その時に陰陽師だった祖父に救われ、自分も陰陽師を目指したのだそうだ。
(成る程。彼女にも、霊や妖怪を憎むそれなりの理由があったのだな)
私は胸中でそう独りごちる。
と、自分のことを話し終えた彼女が、私達の方に目を向けて来た。
「ねぇ?失礼かもしれないけれど……その喋る猫といい、あなた方も普通ではないわよね?それに、さっき……あの屋上で、私、見てしまったの。一瞬だけ、あなた達の後ろに、西洋の騎士と……髪の長い、禍々しい気配を放つ魔王みたいなものが見えたのよ。良かったら、あなた達のことも聞かせて貰えないかしら」
菜乃の言葉に、顔を見合わせる私達。
しかし、ここまで来れば乗りかかった船だ。
(あの花子さんを救い、これ以上の被害を食い止めるためにも、私達は協力する必要がある)
私達は、自分たちの前世について、菜乃に話し始めた。
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