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ならばーー。
「女神よ。私は、スキルは、もういらない。ただ、普通の人間として、争いのない世界で、誰も傷つけることなく……友達と一緒に、平和に暮らしたいのだ。私が今持つスキルの全てを引き換えにしても良い。叶えられるか?」
私の言葉に、何度も頷く女神。
彼女の頬から幾つも涙が零れ落ち、握られた私の手や透明な床を濡らしていく。
「それでは、私が責任を持って、あなたを必ず『争いのない平和な世界』に、転生させます」
彼女の言葉と同時に、真っ白な光が私を包み込む。
そうして、女神の姿が光に阻まれ、どんどん見えなくなっていった。
(ああ……きっと私は、これから生まれ変わる……魂が、輪廻の輪に乗るのだろう)
先程女神に頼んだ通り、願わくば、次の人生では親友と傷つけうあう様な人生にならない様ーー。
私は、心からそう願いながら、静かに瞳を閉じた。
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