1217人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「でも、どうするんにゃ?あいつ、今、メチャ強なんにゃろ?」
不安そうな声でそう話しつつ、私達を見上げてくる黒猫。
その黒猫の言葉に、私と王真ははたと足を止める。
(そうだった……)
前世を思い出したが故、私は騎士の気持ちになっていたがーー『今』の私は、何の力もないただの男子高校生なのだ。
このまま行ったら、今度こそ水の弾丸に蜂の巣にされて殺されるに決まっている。
と、先程から黙って何か思案している様子だった菜乃が、徐に口を開いた。
「あなた達……前世では、とても強かったのよね?」
菜乃の言葉に、取り敢えず頷く私達。
自分で自分を強いと褒めるのも何だかむず痒いが、少なくとも私は、剣術の腕ならば故国で一番の腕前だった。
一方、
「俺はさー?こう見えて、すばしっこさを活かした体術と、闇魔法が得意だったんだぜー?」
自慢げにそう語る王真。
すると、何やら考え込んでいた菜乃が、ゆっくりと顔をあげ、私と王真の顔を交互に見つめて来た。
「もしかしたら……この策なら、いけるかもしれないわ」
最初のコメントを投稿しよう!