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「邪魔しないでよ!私はただ、私の大切な人を守りたいだけなのに!」
泣きそうな声でそう叫びながら、絶え間なく水の弾丸の雨を降らせてくる花子さん。
「だから、その守り方が間違ってるんだっつーの!」
王真は強い口調でそう告げると、まさに可憐に舞いながら、その比礼を縦横無尽に伸ばしていく。
花子さんはそれをどうにか切り裂こうとするが、私とーーそれに人質を安全な場所に確保し、援護に回った菜乃が退魔の矢を放って全ての水の弾丸を撃ち落としてみせた。
「なんでなんでなんでなんで?!なんで誰もわかってくれないの?!私はもう寂しいのは嫌なの!!独りは嫌なのよ!!!」
幼子の様に泣きながら、暴れる花子さん。
王真はそんな花子さんの両手を比礼で拘束するとーーなんと、彼女を大きく引き寄せ、優しく抱き締めた。
「王真?!」
大切な兄に何かあったらーー。
兄の思ってもみない行動に、思わず駆け寄ろうとする私。
だが、王真は静かな瞳でそれを制して来た。
そうして、暴れる花子さんを胸の中に包み込んだまま、王真は優しい声で語り始める。
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