1217人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「なぁ?俺、わかるよ。お前の気持ち。俺も、ずーっと独りで寂しかったからさ」
思わぬ王真の言葉に、花子さんの肩が小さくピクリと揺れる。
「……そんなの、どうせ私を止めるための出まかせでしょ」
花子さんはあくまで強い口調でそういうが、王真は彼女にゆっくりと首を振ってみせた。
「出まかせなんかじゃない。俺も昔、ひとりぼっちになったことがあるんだ。お前と同じだよ。沢山の人を傷つけて、結果、人間に嫌われて。あの頃は、凄く辛くて苦しかったなぁ……」
「…………」
王真の言葉が嘘ではないとわかったのか、花子さんの抵抗が小さくなる。
そんな彼女の頭を撫でながら、王真は優しく語りかけた。
「ひとりぼっちって苦しいよな。悲しくて、辛いよな。本当に、よく分かるよ。俺も長い間同じだったからさ。俺も昔、大切な人を……親友だったユージーンを、助けようとしたんだ。お前みたいにさ。でも、方法が間違ってたんだよな」
そこまで語ると、王真は苦しげに大きく息を吐く。
「俺の親友はさ?昔……俺を助けようとして、盗賊に殺されちまったんだ。でも、俺はそんなの嫌だった。ユージーンにもう会えないなんて考えられなかった。そんな時……俺は、死んだ人間を生き返らせる闇の魔術が書かれている本を、見つけてしまったんだ。その本には、こう書かれてた。『汝、愛する者を生き返らせたくば100人の人間の魂を捧げよ。さすれば願いは叶えられん』。だから、俺は殺したんだ。100人の罪無き人間達を」
最初のコメントを投稿しよう!