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「ひゃぁぁぁ?!!」
甲高い悲鳴をあげるや、よくおもしろ動画にあるーー胡瓜に驚いた猫の様に、派手に飛び上がると、ガシィッと私にしがみついてくる王真。
そんな兄の姿にお腹を抱えて笑いながら、花子さんがふわりと菜乃の隣に腰をかけた。
ちなみに、当然だが花子さんの姿は他の客達には見えていないらしい。
「今回は色々助けられてしまったわね。本当にありがとう」
私達にそう語りかけながら、真摯に頭を下げる花子さん。
「彼女は……確かに過ちを犯してしまったけれど、それは人間への愛情からだった。だから、私は彼女を消さなかった……ううん、消せなかったのよ。だって、友達を思う普通の人間の女の子となんら変わらないのだもの」
花子さんの隣で苦笑いを浮かべつつ、菜乃は私達にそう報告する。
「でもね?あれだけの騒ぎを起こしてしまった訳だし。念の為、これからは私と一緒に屋敷で暮らして貰うことにしたわ」
花子さんは菜乃の言葉に頷くと、その言葉につなげる様に、こう語った。
「愛美のことは、これからは遠くで見守ることにしたわ。勿論、彼女を大切に思う気持ちに変わりはないけどね」
「そうか……」
彼女達が出した、きっと誰にとっても最良であろう結論に、思わず笑みをこぼす私。
見ると、隣で兄も満開の笑顔を浮かべながら大きく頷いている。
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