Crash!〜元魔王と元騎士の優雅なる?転生生活〜

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兄を見つめていた私は、『ある事』に気付き、はっとする。 それは――。 (まさか、兄さんは……リスティファの生まれ変わり、なの、か……?) 兄の容姿が、亡き親友に恐ろしい程酷似している、ということだ。 前世の記憶が無い時には、当然ながら全く気付くことはなかったが――。 こうしてみると、生き写しと言って良い程に兄はリスティファにそっくりなのである。 「リスティファ……本当に、お前、なのか……?」 私は、震える手で、そっと兄に触れようとする。 が、私の指先が彼に届くより早く、兄の身体が小さく動き出す。 仔猫の様にくしくしと目を擦りながら、緩慢な動作で身体を起こす兄。 彼は、とっくに目を覚まし、自分を見つめる私の姿を認めるや、パッと表情を華やがせた。 「ユージーン!!!良かった!生きてたんだな!」 満開の向日葵の様な――眩しい位の笑顔を浮かべ、そのまま私に飛び付いて来る兄。 その言葉に、やはり兄はリスティファであると私は確信する。 そうして、私は、おそるおそる――しかし、どこか夢を見ている様な気持ちで、兄の背中にそっと手を回した。 「ああ……心配をかけたな、兄さん……いや、リスティファ……」
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