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プロローグ 古びた日記
松元由美子は懐かしくページを捲っていた。表紙には『昭和53年1月~ 』と綺麗な文字で書いてあった。ノートにはびっしりと書かれているが、文字は綺麗なため読みやすい。自分自身で見返しては思い出し、今後の教訓に活かしている。
由美子は看護系の大学を卒業して入職してから一日も欠かさず日記を付けている。いったい何名の名前をここに書き記したか。誰にも見せることのないこの日記は大切に保管されていた。
大変だった時こそやはり忘れられない。すでに五十を過ぎた眼鏡の奥の瞳は命の尊さを何度も見てきた。目尻の皺は深く慈愛に満ちている。
「まさかね。再会出来るなんて。でもこんなに嬉しいことはないわ。本当にこの仕事を選んで良かった」
──ねぇ、あなたは命を大切に扱っていますか? ──
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