18

1/1
前へ
/18ページ
次へ

18

 夜のホテルの部屋で、二人の声がする。 「正直予想外でした。あなたが出資を承諾されるとは」 「出資するとは、まだ言っておらんよ」 「アカツキの解体を再考しよう、とは結局そういうことでは? 銀行の連中も安心して債権放棄の話を始めましたしね。なぜです?」 「創造的破壊」 「シュンペーターですか」 「われわれがどっぷり浸かっている資本の論理とは、関数のようなものだ。前からの軌道の延長でしかない。真に新しいもの、状況を根本から変えてしまうようなものを生み出すのは、われわれではない」 「それが、前橋いつき、だと?」 「それはわからん。しかし、彼女の言葉から、アカツキに創造の種が埋もれていることはわかった」 「ありがとうございます」 「アカツキの解体はしない。一体として救済する。しかし、何も変えないという訳にはいかない。変革を妨げるものは断固排除する」 「リヒャルト……」 「高崎くん、君がアカツキの社長をしないか?」 《……to be continued》
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加