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夜のホテルの部屋で、二人の声がする。
「正直予想外でした。あなたが出資を承諾されるとは」
「出資するとは、まだ言っておらんよ」
「アカツキの解体を再考しよう、とは結局そういうことでは? 銀行の連中も安心して債権放棄の話を始めましたしね。なぜです?」
「創造的破壊」
「シュンペーターですか」
「われわれがどっぷり浸かっている資本の論理とは、関数のようなものだ。前からの軌道の延長でしかない。真に新しいもの、状況を根本から変えてしまうようなものを生み出すのは、われわれではない」
「それが、前橋いつき、だと?」
「それはわからん。しかし、彼女の言葉から、アカツキに創造の種が埋もれていることはわかった」
「ありがとうございます」
「アカツキの解体はしない。一体として救済する。しかし、何も変えないという訳にはいかない。変革を妨げるものは断固排除する」
「リヒャルト……」
「高崎くん、君がアカツキの社長をしないか?」
《……to be continued》
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