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今日、数年ぶりに本を読んでいる。
友人の心優しさに感謝しながら、山本文緒の「ばにらさま」を読んでいる。
彼女の元から逃げ出したのは数年前。
私自身がストレス過多の暮らしの中でまともな文章も書けなくなっていた時。
サイトに投下する作品にも酷いコメントが付き始めて、気持ちが滅入りに滅入っていた時。
彼女の書く小説は、本当にレベルが高くて読んでいて心が震えるような作品ばかりだったのもあって、萎縮し、自分に絶望して、「彼女」と「書くこと」に関わる全てから逃げ出したのだった。
彼女の心をひどく傷つけたのだと思う。
けれど、その時の私は人の心を思いやれる余裕などなかったし、書けないものは書けないのだと開き直るしかなかった。
それから数年間、全く読みも書きもしない暮らしの中で、色々と起こっていた事柄も解決していって。
ふと折に触れて思い出すのは、書いていたころの楽しさばかりだった。
結局私が選んだのは、「書く」暮らしに戻ること。
無理かもしれないと半ば諦めながら彼女に連絡を取ってみると、予想に反してすんなりと受け入れてくれたのだった。
有難かった。
逃げ出した私を咎めることなく受け入れてくれて。
けれど、そこからが驚き焦る現実との対面だった。
彼女はそこからコツコツと作品を書き続けて、六十近くの小説を書き上げていて。
しかも受賞もいくつもしている。
離れている間に彼女は着実に結果をしっかりと出していっていたのだった。
体が縮み上がるような感覚を覚えながら、作品を読んでいく私。
私が離れている間にも人は生き続けているのだから当然のことなんだけれど、時間の大切さを思い知った。
逃げ出したくなるほど、彼女は確実に根を生やしている。
けれど、今度は逃げ出さない。
そう自分に誓って彼女に連絡を取ったのだから、後戻りはできない。
投げ出さない、逃げ出さない。
そう、決めたんだ。
下手くそでも続けていきたいし、力も付けていきたいと。
だから、彼女にそう伝えた。
それで紹介されたのが、山本文緒の「ばにらさま」だ。
ほかにも数冊紹介してくれた。
彼女なりに考えて選んでくれた本だ。
読みやすくて、入りやすい、内容がしっかりしたもの。
彼女が一番に薦めたい本。
友人って本当にありがたいと思う。
逃げ出しておいて友人と呼ぶ資格はないかもしれないけれど、私にとっては大切な友だ。
彼女も今回は飲み込んでくれたのだから、今度は少しでも近づけるようにがんばってみたいと思っている。
暮らしも落ち着いて、今はストレスもなく穏やかなのだし。
読んで書いて。
インプットとアウトプットを繰り返そうと思う。
明日ブックオフに行って、読むものをもう少し仕入れてこよう。
年間百五十冊読めたらいいな、とか壮大な計画も立てている。
そのうち「文章がしっかりとしてきたね」と思われるように、取り組んでいきたい。
生きるということは、何かを得続けることなんだと思う。
マグロが泳ぎ続けないと生きられないのと同じように。
彼女とは、これから長く続けていけるように交流していきたいと思っている。
常に、心の中に感謝の気持ちを抱きながら……。
(確かにその頃はストレスフルな暮らしだったとは言え、逃げ出した挙句に舞い戻って連絡を取った私の恥ずかしさに、古すぎる表現だけど「反省中のお猿」の体制から抜け出せない日々です……泣)
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