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そうだ、おひっこしをしよう!
昔々。
あるところに、三匹の子豚とお母さん豚が暮らしていました。ある日お母さん豚が三匹を呼び出してこう言ったのです。
「突然で悪いんだけどちょっとうち出ていってくれない?」
「ごめん本当に突然すぎて頭追いつかないんだけど、どゆこと?」
長男豚は口をあんぐり開けて言いました。次男、三男も同様です。確かにうちが貧しいのは知っていましたし、この家も広くはありません。むしろ築五十年のおんぼろアパートなので、いつ老朽化でぶっ壊れてもおかしくないだろうとは思っていました。だがしかし、そうだとしても唐突です。
「実はね。お父さんの遺産、お母さんがギャンブルでほとんど使い切っちゃって」
「おいオカン」
「パチスロもお馬さんもお船も楽しくてね」
「この世界パチンコや競馬があるの!?」
「一億円くらいあったんだけどほとんどすっからかんで」
「そんなに遺産あったの!?オトンすげえな!?そしてそれを使い切るってどんだけ!?」
「そういうわけだからこのアパートの家賃もギリギリで」
「ここの家賃月一万円くらいじゃなかった?ねえ?」
「というわけだからあんた達の食費がまかなえそうになくって。出て行ってもらわないとお母さんが飢え死にしちゃうの。おねがい!」
「待て待て待て待て」
律儀にツッコミを入れる三兄弟。お母さんがだいぶダメ豚であることは知っていましたが、まさかここまでとは。
このままでは三兄弟がやってるバイト代も全部持っていかれそうな勢いです。少し前に、次男が苦労して作り上げた数々のガンプラがなくなったなと思っていましたが、まさかそれも売り飛ばされてしまったのでしょうか。
「……わかったよ、出ていくよ」
「ほんと?助かるわー。頑張って自分達の家を建ててね!」
三匹は仕方なく、出ていくことにしました。
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