高宮真夏

1/7
前へ
/23ページ
次へ

高宮真夏

「――はぁ? 本気でこんだけしかないわけ? そんなブラックなわけ? あんたの職場」 「……いえ、花岡(はなおか)さん。決して、職場に問題があるわけではなく……ですが、花岡さんには既に幾度もお渡ししていて、もうお金が――」 「あぁ!? あたしに出す金はないっての!?」 「あっ、いえそういうわけでは!」  ある秋の日の放課後。  校舎隅の非常階段――その踊り場にて、僕の胸倉を掴みそう問い掛ける女子生徒。彼女は花岡さん――同じ一年C年で、当クラスのリーダー的存在でもある生徒で。  そして、女の子と二人きりという、学園ドラマであれば何か甘酸っぱい展開になりそうな場面かもしれないけど……生憎、僕みたいな取るに足らない陰キャラにそんな眩い青春など訪れるはずもなく。なので……まあ、端的に言えばカツアゲを受けているという状況で。        
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加