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さて、ここで彼女のご希望に添えればひとまずは解放されるのだろうけど……それでも、ないものはなくて。先ほど言ったように、花岡さんには既に幾度も――それこそ、高校入学から幾度も渡していて。尤も、入学ほどなく始めたアルバイトの収入を割いているので、金銭面で両親に迷惑を掛けずには済んでるけど……それも、もはや底をついてき――
「…………ぐっ」
卒然、胸倉を掴む力が強まる。正直、息をするのも苦しい。本当に、今はほとんどない……それでも、近いうちにお金を渡す約束だけでもしておかないと、きっと解放してはもらえない。だから、どうにか声を……こえを――
「――こんなところで、何してるのかな?」
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