プロローグ

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プロローグ

「貴方が魔王?ふ〜ん…大した事ないわね、貴方程度では私の練習にも成りやしない…」 「小娘が…この俺を雑魚扱いとは…どれだけ自信過剰なんだかな…それは過大評価が過ぎると言う物だ」 「過大評価?は〜ん?私からしたら貴方のその自信こそ過大評価ね…だったらやってみたら?貴方のその全力でもぶつけてね、まっ…所詮は小物、私の敵には成り得ないわよ…ふふふ」 「そのはったりを粛清してやろう…人間等、俺からしたら蟻にも及ばぬ事、教えてやる!!」  挑発された魔王と言う存在が、目の前に怯えもせず不敵に笑う少女に向けて魔法を放つ、それは普通ならば塵も残らない程強力な物で、ただの人間が太刀打ち出来る程生ぬるい攻撃ではない…ではないのだが…。  そこに立つ少女に魔力の塊が襲いかか…らなかった。  少女は指を一本立てると小石でも飛ばす様な感じて向かい来る魔力の塊に向けてそれをピンッと弾くと弾道が90度変わり天井を貫いた。  つまり、全力の攻撃が少女の指先一本で弾かれ魔王宮の天井を貫いたと言う訳である、この結果に青ざめたのは魔王と呼ばれる人物の方で、その顔は驚きと戸惑いの眼差しをしている。 「ど…どーゆー事だ!?俺の渾身の一撃を指先一本で跳ね返しただと…有り得ん、そんな事は有り得ぬ!」 「はぁ…だから言ったじゃないの、貴方程度の奴では練習相手にもならない…って、馬鹿なの?」  少女は呆れてがっかりした風な表情を見せると、一歩一歩魔王と言う人物の方へ歩み寄る、魔王と名乗る人物は人知れぬ恐怖にかられ次から次へと魔法を少女に向けて放つが、何一つ当たらずダメージすら与えられていない、混乱した。 「あり得ぬ…こんな事は有り得ぬのだ、俺は最強にして最凶の魔王、こんな小娘等に倒される訳はない…何故だ何故効かないのだ!?」 「そんなの簡単よ…貴方が私よりも劣る存在だからよ…そんな事も解らないの?」 「イレギュラーとでも言うか!小娘!!」 「イレギュラー?そんなの知らないわ…あ〜あもう相手するの飽きちゃった、つまらない玩具ね、もっと楽しませてくれるかと期待して損したわ…」  少女はそう言うと人差し指を魔王に向ける、指先が光始め小さな光の玉が生まれると、魔王と言う人物はその超高密度な光の塊に恐怖した。  だが、少女は躊躇いも無くその光の玉を魔王と呼ばれた人物にも見切れない速さで発射、額を貫通して背後の壁を貫通させる。  然し、魔王と呼ばれた人物、それだけでは倒れない筈と思われたが、次の瞬間、少女が掌をグーにしたと同時にまるで風船の様な感じで魔王と呼ばれた人物は弾け飛んで散り散りになり魔核と言われる心臓すらも粉々に砕かれていた。  背中を向けて歩き出す少女、彼女は帰り際に捨て台詞を吐きながら歩いている。 「だから言ったじゃない…練習相手にもならないって…加減迄してあげたのに壊れちゃうなんて…本当つまらない玩具だったわ…あ〜あ、また新しい玩具を探さないと…退屈過ぎて死んじゃいそう」  まだ10歳位の子供でしかない彼女はそんな台詞を口走りながら魔王宮を後にし、宮を出た所で上下に構えた掌を打つ、すると立派な作りだった魔王宮は見るも無惨にあっさり粉々に粉砕された。 「手間取らせないで欲しいわ…面倒臭いんだから」  彼女が通り過ぎた後、そこには更地しか残らなかった。
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