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翌朝、拓人は走って学校に向かった。異世界に来ると約束した仲間たちと、さらにその前に異世界に来たであろう仲間たちがいた。
「久しぶりだ……」
涙が出てきた。みんなこれから仲良くやっていける。
「良かった……」
美晴も嬉しそうに涙を流す。
その瞬間だった。教室のドアが開いたのは。
「そんな大勢逃がす訳ないだろう? これからも楽しくやろうぜ」
もとの世界で蒼也は教室で教科書を開いたまま空を眺めていた。
「拓人、ごめんね。みんなが異世界に行くのを僕、木村先生に教えたから。僕も木村先生嫌だけど、木村先生がそっちに行ったらもう逃げられないから。みんな頑張って」
独り言のように空に呟く。教室に残った生徒は五人。あまり目立たない人ばかり。彼彼女らは心置きなく勉学に集中する。彼彼女らの邪魔をするものは異世界へと旅立ったのだ。
初夏の風が涼しかった。
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