『百合世界』

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『百合世界』

あれ?ここは何処だろう。 ふと気がつくと私は高級そうなベッドで寝ていた。 えーと状況を整理させて欲しい。 ぼんやり記憶がある。私は確か地球に住んでた筈。 ん?なんでかそれ以上思い出せない。 いやぼんやりとは浮かぶのだが何かまでは分からないのだ。 という事は私は完全に記憶喪失という事になってしまいそうだが、安心して欲しい。 この体の記憶はある。 私のこっちの身体の方の名前はアビス・ローズ だ。一応貴族ではあるがかなり底辺なのでそこまで家の名前パワーは強くない。 そして親友のアズサ・シンフォニーというここら辺の領地を収めている人の娘と仲良かったみたいだ。 でも…うん。私はどうやら一年程昏睡状態だった。その原因は… 「お、お嬢様…?お、お嬢様!!!!?きゃーーーーー!お嬢様がお目覚めになりました!!!??!?」 扉から入ってきていたメイドに気付かなかった。もう少し情報を整理したかったんだけど… まぁいいや。 「おはよう、メーイ。」 私のお世話係のメーイに挨拶する。 一年眠ってたのでおはようは違うかも。 「………だ、旦那様ーーーー!!!!」 ドタバタと慌ただしい足音で何処かへ行ってしまう。 「ちょっと待っ!」 ベッドから降りようとすると思わず体勢を崩してしまった。 思った以上に体の衰弱が激しい。 またドタバタと足音が聞こえる。その足音の量は更に大きくなっている。 「アビス!!め、目覚めたんだな!」 「あぁ、私の可愛いアビス。良かった!本当に…」 「アビス様…ぼんどうによがっだでずーーー」 全員が泣きながら私に抱きついてくる。 「う、苦しい。」 「あ、すみません。アビス様。」 「アビス、本当に目覚めたんだな!」 「この時をどれ程待ち侘びたか…」 「お久しぶりです。母様、父様。」 一年振りの家族との会話を交わす。 さて、これからどうしようかな。
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