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【2】答え
瀬名は前だけを見てスタスタ歩いて行く。
桜庭はその少し後ろをトボトボと歩いていた。
瀬名が何処に行くのか桜庭は知らない。
でもこのまま帰れない、と思った。
瀬名の返事。
『セックスしよっか?』
意味が分からない。
嫌いならセックスしようなんて言わないよな…
でも好きな相手にいきなりセックスしようなんて言うかな…
桜庭の頭の中はぐるぐる回る。
瀬名が駅の改札を通る。
桜庭も慌てて後を追う。
自動改札を通る時の音がやけに桜庭の耳に響いた。
並んで電車に乗る。
確かこの方角はハルの家…
桜庭は瀬名の家に行くのは初めてで、緊張してきた。
もしかして、あれは冗談で、家でゆっくり話をする気なのかもしれない…
もう夕方だし…
これからゆっくり振られるのか…
桜庭はため息が出そうになるのを、必死で堪えた。
三駅乗ると瀬名が「次、降りるよ」と言った。
以前、神田に自宅があると聞いたことがある駅だ。
駅に着くと、またスタスタと瀬名は歩いて行く。
桜庭も後れないように、瀬名の後ろを足早に付いて行った。
15分程歩くと一軒家の前に着いた。
「ここ俺んち。
今誰もいないから、上がって」
瀬名は鍵を開けると玄関のドアを手で押さえて、桜庭を促す。
桜庭は小さな声で「…お邪魔します」と言った。
後ろでドアが閉まって、ガチャという鍵の掛けられる音に桜庭はビクッとしてしまった。
瀬名はクスッと笑うと、靴を脱いで家に上がった。
「俺の部屋二階だから」
瀬名はそう言うと、トントンと軽快に階段を昇って行く。
桜庭も仕方無く後に続く。
ひとつのドアの前に来ると瀬名がドアを開けた。
「入って」
「…うん。お邪魔します…」
瀬名はギターケースを床に置くと、「適当に座ってて」と言って部屋を出て行く。
勉強机にベッドにテレビや本棚。
自分の部屋と殆ど変わらない。
桜庭は部屋の中央にある小さな丸テーブルの前に座った。
程なくして、瀬名がマグカップを二つ持って部屋に戻って来た。
「コーヒー淹れてきた。
これ、ミルクと砂糖。
莉緒ちゃん、入れる派だよね」
マグカップを目の前に置かれて、仕方無く桜庭はミルクと砂糖を入れると、スプーンでかき回した。
ミルクがくるくるとコーヒーに白い渦を巻く。
桜庭がそれをじっと見ていると、「飲まないの?」と瀬名が言った。
「の、飲むよ…いただきます」
桜庭がマグカップに口を付ける。
そっと瀬名の様子を覗くと、瀬名もコーヒーを飲んでいた。
暫く無言でコーヒーを飲んでいると、瀬名が急に立ち上がって言った。
「じゃあ、ヤりますか」
「ハル…あの…」
「莉緒ちゃん、制服脱いで。
あ、下着も全部ね」
瀬名はどんどん制服を脱いでゆく。
「ハル…!待って!…俺は、あの…」
「何?莉緒ちゃんって脱がしてもらいたいタイプ?
でも俺、今日そんな気分じゃないんで」
「……」
「早くしてくんないかなあ。
莉緒ちゃん、俺が好きなんだよね?
それでセックスしようって言われて家まで付いて来た。
莉緒ちゃんだってヤる気なんでしょ?」
「ち、違うよ!
俺、ハルにちゃんと告白の返事もらって無いから…その話するのかって…!」
「あーめんどくせえ」
瀬名は呟くと、桜庭のブレザーの釦に手をかけた。
「好きな人とセックスする。
こんな嬉しいこと無いでしょ?
じゃあ、いいじゃん」
次々と釦を外され、ブレザーを脱がされる。
ネクタイがシュルっと音を立てて解けた。
「ハル…やめ…」
「自分で脱ぐ気になった?
早くね」
瀬名はさっさと裸になるとベッドに寝転んだ。
「ハル…」
「まだ?」
「返事…聞かせてよ」
「だから、これが返事。
分かんない?」
桜庭はもしかして、と思った。
ハルももしかして俺が好き?
だから、セックスしようって…
桜庭は意を決して、素早く裸になった。
その姿を見て、瀬名が満足そうに笑ってベッドから下りる。
「じゃあ、莉緒ちゃんベッドに横になって」
桜庭はコクンと頷くと、ベッドに横たわる。
瀬名が桜庭の足元に座ると言った。
「足開いて」
瀬名のベッドはシングルベッドだ。
このままじゃ瀬名の居る場所が無いのかと思い、桜庭はおずおずと足を開いた。
「もっと。こんくらい」
瀬名は桜庭の膝裏を掴むと思い切り左右に開き、ぐいっと押した。
「…いた…っ」
「足、閉じないでよ。
それと前戯とかする気無いから。
まあ、最低限のことはやりますけど」
そう言うと瀬名は桜庭自身を口に含んだ。
「ハ、ハル!?」
「暴れると、噛むよ」
瀬名の低い声に、桜庭は抵抗を諦めた。
それでも桜庭は健康な高校生男子だ。
巧みに瀬名に舌で舐められ、ジュボジュボと音をさせながら吸われると勃ってしまった。
桜庭は恥ずかしくて、顔が真っ赤になった。
すると瀬名は「もういっか」と言って小さな袋を破り、手早く桜庭のペニスにゴムを被せた。
「ハル…?」
「これで莉緒ちゃんも思い切りイけるし、俺のベッドも汚れないでしょ。
次は…」
瀬名はチューブを手に取ると、中身のジェルを出して桜庭の後孔に雑に塗ったくった。
それから瀬名は自分の指にジェルを塗り込むと、桜庭が何も言う間も無く、後孔に指を一本差し込んだ。
「ああっ」
桜庭が異物感に震える。
「莉緒ちゃん、初めて?」
「う…うん」
「じゃあやさしくしなくちゃね」
瀬名の指がゆっくりと中をまさぐる。
「ん…ん、ん…」
桜庭が身を捩ると、尻をパチンと叩かれた。
「足、閉じないでって言ったでしょ」
ぐにぐにと中を動く指。
桜庭は震えながら、自分の足をぎゅっと掴んで、異物感に耐えていた。
その時。
強烈な快感が桜庭を襲った。
「アッ…ああーッ」
桜庭が身体を仰け反らせる。
「莉緒ちゃんの良いトコロここなんだ」
瀬名が何度もその場所を擦る。
「ああっ、やあっ…!」
異物感に萎えかけていた桜庭自身が上を向く。
「そろそろ良いかな」
瀬名の言葉と共に、二本目の指が差し込まれた。
「ひっ…」
「さすがにキツイねー。
でもこの調子なら直ぐトロトロになるよ」
痛くは無かったが、瀬名が中を広げるように指を動かすので、やはり圧迫感がある。
それでも感じる場所も同時に弄られるので、桜庭は初めての気持ち良さに喘いだ。
「あっ…ぁあ…う、はぁ…」
「こっちも気持ち良さそう」
瀬名がゴムに覆われた桜庭の雄を緩く扱く。
ぐちゅっと音がして、桜庭は恥ずかしさに目をきつく瞑った。
すると、何の前触れも無く桜庭の蕾に三本目の指が差し込まれた。
「アアッ…いたっ…」
「ちょっと我慢して。
直ぐ良くなるから。
それにさ」
瀬名がクスッと笑う。
「痛くなんか無いでしょ?」
三本の指で感じる場所を抉るように擦られる。
「やっ、いやぁー」
桜庭の身体がビクビクと跳ねる。
瀬名は三本の指をバラバラと動かしながら、感じる場所を刺激するのも忘れない。
ぐちゅぐちゅという卑猥な水音と、はしたない自分の喘ぎ声に、桜庭は耳を塞ぎたかった。
「ああ…いや…も…ああん…っ」
瀬名の指が一度に全部ズルッと抜かれる。
「は、ぁっ…」
桜庭が薄く瞳を開けると、自分のペニスにゴムを被せている瀬名が見えた。
その上からジェルをまんべんなく塗ると、瀬名はニッと笑って言った。
「じゃ、本番」
瀬名は桜庭の後孔に雄をピタッと押し当てると、一気に貫いた。
「痛いっ!やだっ、ハル…ハル…!」
桜庭の悲鳴を無視して、狭い中に押し戻されそうになりながら、瀬名は切り裂くように雄を進める。
「いたいっ…いたいっ…やめて…ハル…もう…やめてよ…っ」
桜庭の瞳から涙がポロポロ零れて落ちる。
瀬名は「大きく息して」と言うと、抽挿を続けながら桜庭自身を激しく扱く。
桜庭はなるべく瀬名の動きに合わせるように、大きく息を吸ったり吐いたりした。
前を扱かれて、蕾に集中していた神経が和らぐ。
その内、痛みだけでは無い何かが疼くようにやってきた。
瀬名は桜庭の感じる場所を中心に、雄を出し入れする。
「んっ…いた…あ…ぁあ…」
桜庭の声に甘い響きが混じると、奥をズンと突かれた。
「ああんっ」
前を扱れ、感じる場所を擦りながら、奥までガンガン突かれて、桜庭は痛みと快感の狭間で訳が分からなくなっていく。
「ああ…ハル…へん…へん、なる…」
「ヘンになっちゃいな。
ほら」
瀬名が一旦桜庭自身から手を離し、桜庭の両足首を掴むと、足を限界まで上に上げる。
そして桜庭の手でそれぞれの足首を掴ませた。
「このままだよ」
瀬名はそう言うと、また桜庭の雄を強く扱きながら、激しく抽挿を繰り返す。
体勢が変わったせいか、今までよりも深く奥に届く。
「アアッ…いやぁ…当たる…当たる…へん…やあっ」
瀬名が腰をグラインドさせて、感じる場所を擦り上げて、またドンと突く。
「だめっ…だめぇ…出っちゃう…イくぅ…」
「イきなよ」
瀬名がゴムの上から鈴口に爪を立てる。
「いやっ…アアッ…アーーーッ」
ゴムの中に白濁が散る。
瀬名も桜庭の最奥で、白濁をゴムの中に溢れさせた。
瀬名は桜庭と自分のゴムを取ると、ティッシュで桜庭のモノと自分のモノをさっと拭き、ゴムをくるくると巻いて先を縛り、拭ったティッシュにくるんでゴミ箱に放り投げた。
それから、お湯で濡らした温かいタオルを持って来て、桜庭自身と後孔を丁寧に拭いてくれた。
そして「これ、鎮痛剤。飲んどいた方が良いよ」と言って、錠剤と水を桜庭に渡した。
桜庭は何も言わず、それを飲んだ。
「直ぐには動けないと思うから、少し休んでいきなよ。
うち両親共働きだから、夕飯も姉ちゃんの分と二人分あるし、良かったから食べてってよ。
姉ちゃんには連絡しとくし」
桜庭は首を横に振って起き上がろうとして、ガクッと膝から倒れそうになった。
腰も後孔もズキズキ痛いし、全身が上手く動かない。
瀬名が慌てて桜庭を支える。
「ね、せめて痛み止めが効くまでいなよ」
瀬名は桜庭をベッドに座らせると、散らばった桜庭の制服の中から下着を拾い、チェストからスエットを出して桜庭に渡した。
桜庭が何とか着替えると、瀬名が桜庭をベッドにやさしく寝かせた。
掛け布団を桜庭の首まですっぽり掛ける。
瀬名もスエットに着替えると、カーペットの上に座り、ペットボトルのお茶を飲んでいた。
「ハル…」
「ん?」
「何でセックスなんてしたんだよ」
あんな冷たいセックス…
桜庭の瞳からまた涙が零れた。
瀬名が静かな声で答える。
「莉緒ちゃんが俺を好きだって言ったから」
「…俺を好きっていうこと?」
瀬名は何も答えず、スマホを桜庭の目の前にかざした。
桜庭が自分の両足首を持って、瀬名の雄に貫かれて真っ赤な顔で喘いでいる写メ。
白濁を溢れさせて、恍惚とした顔をしてい写メ。
セックス中の桜庭が5~6枚写っていた。
瀬名は写っていない。
桜庭は瀬名のスマホを叩き落とした。
「いつ撮ったんだよ!?」
「俺は誰かさんと違って余裕があったんで」
瀬名はかったるそうにスマホを拾うと、冷たい目をして言った。
ついさっきまで、やさしく桜庭を介抱してくれた瀬名は、どこにもいない。
「ねえ、莉緒ちゃん」
瀬名が桜庭の艷やかな髪をそっと撫でる。
「俺が好きなんでしょ?
じゃあこれからもよろしく」
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