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「いくら弟想いだからって、ミカル兄にしては甘すぎると思うんだけど」
ミカル兄を始めとしてスメラギ家の面々は親戚も含めてヨシュアが可愛くて仕方ない一族だ。
しかし、直接わかりやすい形で手助けしないせいで、ちっとも当人には伝わっていないものの、時々、俺やエルマを通して情報を収集していく。
だから、今回の提案もヨシュアにまつわるアレコレを報告させたいがためだろうけど、それにしたって、ちょっと条件が俺達に有利すぎるんじゃなかろうか。
なにせ、オアシスで何か依頼を受けることになれば、報酬は別途で受け取ってもいいと言われたのだ。
下手しなくても、一つの任務で二箇所からの給金が受け取れるという美味しすぎる仕組みじゃないか。
「でも、ミカル兄。スメラギ商会としての出向なら、国外活動って、ちょっと面倒なんじゃ……」
「ああ、言ってなかったか。我が家の無意味な国外活動報告義務と国外拠点の制約は、友人をつついて結婚祝いとして解消してもらった」
いくら爽やかな笑みのミカル兄が無意味と称せど、貴族位の関わる制約であり、そんなものを解消させるために動ける人物となれば、つつかれたのは王族の誰かに違いにない。
本当に相も変わらず、スメラギ家の人間は規格外でぶっ飛んでいる。
まあ、そんなところが最高に痺れてカッコイイわけでもあるんだけど。
「そこまでして僕達の出向を準備したっていうなら、僕達に対する条件は何?」
ここで冷静な反応をしてくれるのはエルマ。
適材適所だ。
「定期的な連絡くらいだな。当然、業務によってはオアシスから情報規制がかかるだろうから、その辺については省いて構わない。うちから二人を貸し出していることはヨシュアに伝えておいてくれると面倒がないな」
「……それだけ?」
エルマが疑わしく聞き返してしまうのも無理はない。
なにせ、これまでの経験からしたら、とんでもなく有利な条件しかない。
これに対し、ミカルは優雅に肯定の笑みを浮かべた。
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