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俺、ベルナルト・アベルとスメラギ・ヨシュアとオズウェル・エルマ。
それはもう、お調子者と頑固者とちゃっかり優等生という見事な凸凹で構成されているくせに、どんな黄金比よりも完璧な三人組だ。
「え、本気で?」
「俺が、こんな嘘をつくとでも?」
驚く俺に反して、提案してきたミカル兄はいつもの飄々とした態度で小首を傾げた。
そりゃ、まあ、信仰に近いノリで尊敬しているミカル兄のことなら実の弟であるヨシュアより理解しているつもりではいるから嘘ではないだろうけど、驚くのも無理はない内容だったのは間違いない。
騙されるようにミカル兄達の新婚旅行に合わせたヨシュア抜きの卒業旅行に誘われた船旅の船室の中、ミカル兄とお嫁さんのリーデルリディアさんと俺とエルマ。
そんな面子でお茶菓子でくつろいでいたら、さらりと人生を左右する提案をされた。
「アベルとエルマは、もううちの商会員だと思って言うんだが、スメラギ商会からの出向としてヨシュアに貸し出されるつもりはあるか?」
これに驚かない人間がいたら、両手を上げて褒め称えるくらいびっくり仰天だ。
思わずエルマと顔を合わせたら、そっくり同じ様子で共感してた。
もともと、俺もエルマも、これからもヨシュアの力になってやりたいって考えていたんだけど、小国とは言え、お姫様と婚約してしまい、オアシスという八カ国同盟の交易都市の主要人物達から目をかけられているっぽく、それでも最悪の事態になればどうにか食い込めるかもしれないと、ヨシュアの実家が運営しているスメラギ商会の一員になることを選んだ。
そこから、少しでも接点を持つにはどうしたらいいんだろうかと話し合っては、いい案が浮かばないでいたところに、あっさりとコレだ。
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