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第5話 内緒
広間に戻ると、早速ミラベルが駆け寄ってきた。
「セシリア、どうしよう!」
「ミラベル様、どうされたんですか?」
ミラベルは頬をピンク色に染めて言った。
「ザカリー様にお茶会に誘われたの!」
嬉しそうにそう言うミラベルは本当に可愛い。ザカリー王子が誘いたくなるのも無理はない。
「良かったですね」
そう言ったわたしの言葉は、おそらくミラベルの耳には入っていないと思われた。
ミラベルはもう既にお茶会に着ていくドレスのことで頭がいっぱいのようだったから。
帰りの馬車の中で、ミラベルが言った。
「そう言えば、結局どなたがエルランド様なのか、わからないままだったのよ。一体どんな方だったのかしら? お噂では、とってもお綺麗なお顔立ちの方だと言う人もいれば、あまりぱっとしない人って言う人もいるし……でも、わたしは絶対にかっこいい人だと思うのよね! 誰もお顔を知らないなんて、ますます神秘的で素敵」
わたしは、人の良さそうなぽっちゃりとした男の笑顔を頭に思い浮かべていたけれど、ミラベルの夢のためにも、これは黙っておこう、と心に決めた。
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