将棋部

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将棋部

 パチン、と乾いた音が響いた。  一手を指し終えた僕は、両手をひざの上に置いて相手をうかがった。  将棋盤の向こうの彼は、あごに手をやって澄み切った目で盤面を眺めている。  彼の高い棋力(きりょく)をよく知っているからなのか、それとも、彼を特別な意味で意識しているからなのか。  胸の辺りがソワソワするのを自覚しながら、僕は彼の一手をじっと待つ。  
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