お望み通り、地味に生きてきましたが?

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「正確には妨害じゃない。移し先をあたしに書き換える予定だった」 「……は?」 「夢を見たの。あたしが守護竜になってこの国を永遠に護るって……」  およそ支離滅裂な回答だった。  しかし同時に自白でもある。もはや、イザベラは魔法使いではなく黒魔女だった。 「ふふふ、捕らえるなら捕らえてちょうだい。また百年後に挑戦するだけのことよ」  魔法紙の盗難騒動の、実にあっけない幕切れだった。 ★  イレーネは山脈神殿の前に立っていた。 『無理せず帰ってきてもいいんだよ、私のかわいいイレーネ』  父からの手紙を黙読すると、そっと折りたたんでポケットにしまう。 (お父様は、わたくしがまだクランツを好きだと思っているのでしょうね)  魔法局に就職したときのことを思い出す。  失恋の穴を埋めるために仕事はぴったりだった。雑用でも何でもよかった。  評価されるうちに目標ができた。それが宮移しの指揮官だ。  そして、今は―― 「花よ」  大きく両腕を広げた。  イレーネ以外の魔法使いも同様に後に続く。  ぶわっと、すべての指先から色を纏った光が溢れ出した。  たちまち光は花となって辺り一面に咲き誇る。  ――灰色の世界は一変して、色とりどりの花畑に変わった。  ばさっ……  大きな羽音がして空を見上げると、薄茶色のドラゴンが姿を現した。

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